モータン伯爵(・コーンウォール伯爵)ロバート
モータン伯・二代コーンウォール伯ロバートはウィリアム征服王の異父弟。ヘイスティングスの戦いの参加者の一人とされており、ドームズディブックが作成された時代のイングランドにおける大領主の一人であった。
出自
ロバートはエルリヨン・ド・コントヴィールとエルルヴァ・オブ・ファレーズの間の子でバイユー司教オドの兄弟である。 ロバートは1031年にノルマンディーで生まれたウィリアム征服王の異父弟であり、おそらく1030年生まれとみられる兄のオドとは一歳違い程度とみられる。
1035年頃コントヴィール子爵エルリヨンはその妻エルルヴァおよびロバートとともにグレスタン修道院を設立した。
モータン伯爵
1049年ウィリアム公爵はモータン伯爵ウィリアム・ヴァルランを（オーデリック・ヴィタリスによると、たった一言で）追放し、後釜にロバートを据えた。。
ウィリアム・ヴァルランはノルマンディー公爵リシャール一世の孫であり、それゆえウィリアム公爵の再従兄になる。
ノルマンディー南部国境の防衛はウィリアム公爵にとって重要な関心事であり、ロバートはブルターニュやベレームとの国境を守る鍵となる伯爵位を任せるに相応しい人物だった。
イングランド征服
1066年初め、ロバートは最初のウィリアム公爵とその側近たちの会議、続く公爵のイングランド征服計画への協力を討議する大会議の双方に出席していた。彼は侵攻艦隊にほかの大貴族の誰よりも多い120隻の船を提供することを承諾した。彼は1066年のヘイスティングスの戦いにおける数少ない名の知られた参加者の一人だった。
ロバートはバイユー・タペストリーでイングランド上陸の日の夜のペベンシーの晩餐の場面に兄のウィリアム公爵、オド司教と席を共にしている姿を描かれている。
サン-ミカエル山の修道院をモン-サン-ミシェルの修道院に付与する際、ロバートはヘイスティングスにおいて聖ミカエルの旗の下に戦ったと記された。
征服王から与えられた所領
侵略の成功におけるロバートの貢献は明らかに重要なものとして公爵に評価されており、戦利品から多くの分け前を与えられた。
全部で797に上る荘園が当時のドームズディブックで確認できる。しかしながらその荘園の大部分はコーンウォールに集中しており事実上その州の全てを保有していたため、（事実上の）コーンウォール伯爵と見られていた。
ロバートはほかにも20の州に所領を有していたが、それらの州にあった主要な所領はわずか五つほどだった。
これら所有資産の価値総計は2100ポンドに上った。
ロバートは南西部の所領の経営をもっぱらコーンウォールのロンセストンやサマーセットのモンタキュートから行った。しかしながら彼の領地のうちで最大のものはイングランド南海岸の急所の一つを防衛する東サセックスのペベンシー・レイプであった。
後半生
1069年ロバートはロバート・オブ・ユーと共にリンジーのデーン人勢力と戦う軍を率いたが、彼らに対する大虐殺から少なからぬ影響を受けた。その後ノルマンディーに戻り不在領主として過ごしたロバートについての記述はほとんどない。
1088年ウィリアム二世に対する反乱に兄のオドと共に加わったが、その後赦免された。1090/12/8ロバートは死去し、グレスタン修道院で父や最初の妻マチルダの隣に埋葬されることを望んだ。
人物
ウィリアム・オブ・マルムズベリーは「国王の事跡」においてロバートを愚かで退屈な気質の男として書き記した。しかしウィリアム征服王は彼を大事な協力者であると考えており、重要なモータン伯領を任せるほど信頼していた。決して無能な人物をそのような地位に就けることのない公爵が信頼したのだ。
ロバートの人物についてのさらなる手がかりは彼の従軍司祭を務めることを求められた賢き修道士ヴィタリス・オブ・サビニーの人生の中に見つかる。
ロバートが妻を虐待する事件があったとき、割って入ったヴィタリスはもしロバートが悔い改めないのであればこの結婚を終了させる、と脅したことがある。
さらに別の項ではヴィタリスが突然ロバートに辞去を告げ去っていった際、護送されて連れ戻された後で彼はヴィタリスに己の行いへの許しを乞うた。
まとめると、ロバートはウィリアム公爵から与えられた任務に対しては有能であり、敬虔深い男でもあったが妻を虐待するほどには激情家で深慮遠謀のある男ではなかった。
家族
ロバートは1066年までに初代シュールズベリー伯爵ロジャー・ド・モントゴメリーの娘マチルダと結婚し、以下の子を成した：
- モータン伯ウィリアム
- アグネス（ビトレ卿アンドレ・ド・ビトレと結婚）
- デニス（1078年に三代ド・ラヴァル領主ガイと結婚）
- エマ（トゥールーズ伯爵ウィリアム四世と結婚）