アンリ一世は1031年から死去するまでの間、フランク王であった。
彼の治世は、フランス王領が最も縮退した時期であり、そのため、しばしばアンリ一世は初期カペー朝の弱体の象徴と見られている。
この見方は完全には同意されておらず、他の歴史家はアンリ一世を強力であり、フランス王権の限界に配慮した政策実行を強制された現実的な王であったと看做している。
ロベール二世王と王妃コンスタンスの間の子としてランスで生まれたアンリはカペー王家の一員であった。
彼は父王存命中の1027/5/14に、カペー王家の伝統に則りランス大聖堂でフランス王として戴冠した。
アンリは父王の死により単独統治者となるまで、影響力も権力もほとんど有さなかった。
前王の治世同様、アンリ一世の治世も領土紛争により特徴づけられる。
1025年の父王に対する反乱で、彼は当初、兄弟の母の助けにより弟ロベールに合流した。
彼らの母は、しかしながら、父王の後継者として弟ロベールを支持し、父王死去において彼には敵対する弟への対処が残された。
1032年アンリは、1016年に父より与えられていたブルゴーニュ公爵位を譲り渡すことにより、弟と妥協した。
戦略的動きの初期において、アンリ王はノルマンディー公の臣下領主たちの反乱を鎮圧するため、幼い義理の甥であるノルマンディーの新公爵ウィリアム（のちの征服王）を支援した。
1047年アンリ王は、カーン近郊ヴァルエスデュンヌの戦いにおいて、反乱領主たちに対する決定的勝利によりウィリアムの公爵位を安定させた。
しかしながら、アンリ王はのち1060年に死去するまで、ウィリアムに敵対する領主たちを支援した。
1051年、ウィリアムはフランドル伯爵の娘マティルダと結婚したが、アンリはその結婚を自身の王権打倒の企みと見た。
1054年と1057年、アンリはノルマンディーに侵攻したが、いずれの機会においても彼は撃退された。
アンリは神聖ローマ皇帝ハインリヒ三世と三度に渡りカリニャンで会見した。
1043年初頭両者は、ヘンリーの家臣の娘アグネス・オブ・ポワトォーとハインリヒ皇帝との結婚について議論した。
1048年10月、両者は再び会見し、友好条約に署名した。
最後の会見は1056年5月に開催され、ブロワ伯爵とセオバルド三世との間の紛争に対する懸念で合意した。 公国を巡る議論は白熱し、アンリは皇帝の約定違反を非難して席を蹴った。
1058年アンリは、教皇使節であるハンバート枢機卿による聖職売買と専制政治に対する非難を無視し、司教位と修道院長職を販売した。
その努力にもかかわらず、アンリ一世の29年間の治世でフランス封建諸侯の勢力は頂点に達した。
アンリ一世は1060/8/4、フランスのヴィトリー・アン・ブリーにて死去し、サン-ドニ大聖堂に埋葬された。
王位は当時7歳の彼の子フィリップ一世が継承した。6年間はアンリの王妃アン・オブ・キエフが摂政を務めた。
アンリは1016年から、弟のロベールに譲る1032年までの間、ブルゴーニュ公爵であった。
アンリ一世は神聖ローマ皇帝コンラート二世の娘マティルダの婚約者であったが、彼女は1034年に死去してしまった。
その後、アンリはマティルダ・オブ・フリージア（フリースラント辺境伯リウドルフの娘）と結婚したが、彼女も1044年に帝王切開ののち死去した。
三人目の妻は遠方まで探され、1051/5/19にアンリはアグネス・オブ・キエフと結婚した。彼らは四人の子を儲けた。