中世馬事情(十二) 馬具と技術の革新

馬具は、馬の育成・利用法の開発に歩調を合わせて発達した。

中世初期の戦争における変化である重騎士は、他文明から鐙、鞍骨、馬蹄が到来したことに促進され、かつ依存していた。

釘付け馬蹄の発達は、特に北ヨーロッパの湿った土地では馬上の旅をより長く迅速にし、様々な地形での戦争に有用であった。

保護と支援により、釘付け馬蹄は牽き馬の効率も向上させた。

ローマ人は蹄ブーツに似た鉄製の”馬サンダル”を開発しており、釘付け馬蹄の起源はヨーロッパにある様に見えるがその実際の起源については多くの議論がある。

馬サンダル

馬サンダル"Hipposandal"

最初に金属製馬蹄を釘づけしたのはガリアのケルト人だという推測があるが、紀元500年から600年に釘付け馬蹄が存在していた証拠は見当たらない。

鉄の馬蹄について明確に記述された記録の最も早いものは、紀元910年以降の騎兵装具の一覧に”三日月形の鉄とその爪”という記載である。

さらに考古学的証拠からは、9~10世紀にシベリアで蹄鉄が用いられ、それがその後まもなくビザンチウムに広がり、11世紀までには蹄鉄はヨーロッパで一般的に使用されるようになった、ということが示唆されている。

1096年に十字軍が始まった頃には、蹄鉄は広く普及し、様々な文献の記述に頻繁に表れるようになった。

(十三)へ続く
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