中世馬事情(十) 馬具と荷馬

中世を通じ、様々な種類の役馬が利用された。

荷馬は、設備や物品の輸送に用いられた。

ハックニーと呼ばれた一般的な乗用馬は、荷馬として用いることも可能だった。

馬車馬は、交易および農場作業、軍需物資の輸送などで、貨物運搬のために荷車を引いた。

これら牽き馬は、現代におけるそれらと比べると、より小型であった。

図版や考古学的な証拠から、それらはどっしりとしていたが短躯であり、おそよ52~56インチ(132~142cm)ほど、そして一頭当たり500~600ポンド(230~270kg)の荷重をけん引可能であった。

四輪馬車と二輪馬車は、ロンドンのような都市ではより一般的であり、車輛の種類や荷重の大きさにより、通常2~4頭で一組の馬を馬具によって縦列に繋いで轢かせた。

12世紀になると、イングランドでは荷車引きに、それまでの牛に代わり、徐々に馬が用いられるようになった。13世紀を通してその変遷は拡大した。

この様な変化が起きたのは、馬車輸送が牛を用いた輸送に比較して、より迅速かつ長距離の輸送を可能としたためだった。

(十一)へ続く
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