五港長官 Lord Warden of the Cinque Ports

五港長官は現在でも儀礼上の役職として残っており、その起源は12世紀まで遡れるが実際にはもっと古い可能性がある。

この役職は国王により指名されるがしばしば戦時の国防に務めた首相や王族が指名された。
Cinqueはノルマン-フランス語で「5」を意味し、五港(Cinque Ports)とはイングランドの南東海岸線(ケントとサセックス)の五つの港町、ヘイスティングス、ニューロムニー、ヒース、ドーヴァー、サンドウィッチをいう。
のちにライ、ウィンチェルシー、リド、フォークストーン、フェイバーシャム、マーゲイト、ディール、ラムズゲート、ブライトリングシー、テンターデンが加わり、現在では対象が増えていて全部で14の都市が属している。
これらの港町は自治権、湊内外での犯罪処罰権、課税と通行料の免除および通行料の徴収権などの特権を享受し、義務としては戦時の船舶船員の提供を負担した。
負担内容は(1155年のチャーターによれば、)年間15日間1254名乗船の57隻の船舶を供出し、15日を超えた場合は一定の支払いが行われる、というものだった。

長官は専ら国王の勅許に対して税の徴収と犯罪者の逮捕の実施責任を負い、またドーヴァー城付近のセント-ジェームズ教会に法廷を構え広く衡平法裁判を行った。のちにはドーヴァー城代の地位も職務に加えられ、書記や士官などの部下と駐屯地を確保した。

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